相続コラムvol.82「中小企業の社長の突然死 まず何をすべきか」
税理士業務を長らくやっておりますと、顧問先の社長が亡くなるケースに立ち会うことになります。
顧問しているときから、社長様には「俺が死んだら先生、あとの始末は頼むよ」と言われているものですが、実際に起きたとき、現場は本当に大変なことになります。
多くの中小企業は、株主=社長一人のケースも多いです。
社長やその奥様以外は、社内のことに精通していない事が多いです。
そのような場合には、まず何をなすべきでしょうか。
① 次期社長を決める
株主総会を開き、次期社長を選任する。相続人がご遺族の場合には、協力を仰ぐ必要があります。多くの中小企業では、いったん奥様が社長を引き受けるケースも多いです。選任されたら2週間以内に商業登記をします。
② 銀行などへ事情説明をする。
メインバンクや取引先などに早々に事情を伝えます。その中で、亡くなった社長しか知らなかった情報が出てきたりします。
③ 会社の資産・負債状況を確認する
顧問税理士、経理担当者に協力を得ながら、プラスの財産もマイナスの財産も把握してください。帳簿には載っていないものも出てくる可能性があります。同時に社長個人の財産債務の把握に入ります。
④ 退職金の検討
死亡退職金の支払いを検討します。役員退職金規定を確認しましょう。規定等がない場合には株主総会で決定します。このとき、生命保険についても確認しましょう。
⑤ 株式について
亡くなった社長の株は、その後遺族へ相続されることになります。相続人が株の保有をするつもりがなければ買い取りを検討する必要があります。
ざっとあげてみましたが、これらは生前に対策しておくことがとても重要です。
先日、ある社長が40代なかばで急逝されました。
あまりにも突然だったため、死因の把握にも警察が介入し大変なことになりました。
社長のPCにはロックがかかっており、銀行口座へのアクセスもできず、売上・仕入の重要情報もプロに依頼してPCロックを解除して取り出しました。
社長は独身だったため高齢のお母様がいったん社長業を引き継ぎましたが、非常に特殊な業種であったため、継続が不可能となり、1年後に廃業になりました。多くの従業員が職を失いました。
人の命は有限です。自分だけはいつまでも生きていると、皆思っているものですがわかりません。特に中小企業の社長が突然亡くなると大変な混乱が起きます。
あとの方のためにも生前に、税理士・弁護士等に亡くなった後のことを託してはいかがでしょうか。どんな事でもご相談に乗れます。
この記事を担当した税理士
税理士法人葵パートナーズ
代表社員税理士
花田 直子
- 保有資格
税理士
- 経歴
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2002年に税理士試験合格。
2011年より税理士法人葵パートナーズの代表社員税理士を務める。
相続の相談件数1,800件以上の経験から相続税を中心とした相続に関する悩みを抱えている相談者からの信頼も厚い。
- 2024年7月25日「一度相談に行ってみてください。親切に教えてくださいます」
- ご相談内容:相続手続き 満足度:とても満足 1.当事務所にご相談にいらしたきっかけを教えてください。 昨年、安島事務所から紹介されて、今回もお願いしました。 2.当事務所のサービスを受けた感想…
- 2024年5月15日「手際よく対応してくださいました」
- ご相談内容:相続税申告 満足度:満足 1.当事務所にご相談にいらしたきっかけを教えてください。 司法書士さんの紹介です。 2.当事務所のサービスを受けた感想はいかがでしたか? 手際よく対応し…
- 2024年3月25日「親切で話しやすく合理的」
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- ご相談内容:相続税申告、相続手続き 満足度:とても満足 1.当事務所にご相談にいらしたきっかけを教えてください。 司法書士さんの紹介 2.当事務所のサービスを受けた感想はいかがでしたか? 丁…