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相続税の申告で拝見するケースでは、多額の預貯金を残して

亡くなる方がいらっしゃいます。

これまで、多いケースでは、5億円。

女性の方で終戦直後からアメリカ留学された医師で、生涯現役を貫かれました。

その時代に女性が、留学し医師である時点で相当なキャリアウーマンだったことが

わかります。生前からお会いしておりましたが、とても物腰柔らかで、優しくて

素敵な方でした。90代で亡くなる寸前までお仕事をされていらっしゃいました。

 

その方の特徴ですが、本当に本当に質素な暮らしをされていました。

外食はしない、車にも乗らない、家もこじんまりした小さなおうちで

必要以上なものを持たない。今で言う、ミニマリストでいらっしゃったかと思います。

 

旅行もファーストクラスに乗って豪華旅行できたでしょうが、

グループで行く、バス旅行ツアーくらいしか参加されませんでした。

 

エアコンも嫌いで夏も暑くても、エアコンつけず。着るものも質素でした。

親族の方は、もっと贅沢すればよかったのに。こんなに税金を取られるなら

とおっしゃってましたが、私から見ると、素敵な暮らしぶりでした。

 

たくさんのものを持って、豪華なものに囲まれて、贅沢な料理を食べなくても

幸せであれば、それは素敵な生き方です。

 

職業人生も充実し、多くの人のためになる仕事を続け、周囲の人とのトラブルなど全く無く、穏やかな老齢期を過ごされていました。

 

財産をどうしよう、というお悩みは少しあったようですが、お子さんもなく

過度な節税をされることもありませんでした。

 

亡くなるときも穏やかだったそうです、TVを見ながら気づいたら息をひきとっていたそうです。その直前には、親族の方と楽しいランチの時間を過ごして。

 

残すお金に税金をかけられるのはもったいないという考え方もありますが、

ご本人が納得で質素な素敵な生活を送っている場合には、もったいなくもありません。

お金があっても不幸だったり、子供がいても疎遠だったり、仲が悪いケースもあります。

 

人生の充実度は本人が決めるものだなと、よく思います。

 

ゆえに節税の面からだけのアドバイスはナンセンスだなと思うのです。

この記事を担当した税理士

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